最終更新日 2025年6月24日
企業が自社で契約書を作成する場合、正しく作ってないと意味がありません。
まず目的意識を持って作ることが重要で取引に関してのリスクを考えてからそのリスクをカバーする目的意識を持ちます。
例えば、売買契約だと売主・買主両方へそれぞれリスクがあります。
自社が売主だと代金の回収が出来なくなったり、買主から商品や製品の性能を超える要求がありトラブルになる・製品などに不良があり買主から請求を受ける・仕入れが出来ず納品が不可になる・輸送中の破損などです。
自社が取引で負担することになることを想定する
買主の場合は、納期遅れ・不良品があったときに十分な対応がない・代金前払いでも商品が送付されない・商品が第三者の知的財産を侵害していたときに損害賠償請求を受ける・品の供給を途中での打ち切りや仕様変更、転売をするとき客先で不良が見つかり顧客から賠償請求を受けるなどがあげられます。
自社が取引で負担することになることを想定し、それをカバーするために契約書を作成します。
権利と義務についての記載も大事で、商談資料やビジネスレターと違うのは自社と相手の権利と義務を書いた書類なことです。
契約条項では、自社の権利・義務・相手方の権利・義務を定めているかを意識します。
条項に主語がなくて誰の権利または義務について記載したか明確でないもの、記載されている権利または義務内容が明確でないものは適切ではないです。
裁判官にわかる言葉で書くことも必要
また、裁判官にわかる言葉で書くことも必要で、ビジネスでトラブルが起きて裁判まで発展しまうこともあるので、契約書がトラブルを解決するためのものである以上は、最終的に裁判所で意味内容を判断されることも想定しておきます。
中には自社と相手にしかわからない独自の用語や業界用語を多く使っている物もありますが、それだと裁判になったときに裁判官がわかる一般的な言葉でありません。
使っている用語の意味について相手と争いが起きて、その主張をされる恐れもあるので注意です。
法律上記載する項目も決まっていて、労働者派遣契約書だと労働者派遣法第26条で項目が定められてます。
期間1ヶ月で金額5万円を超えるエステや語学教室の契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供になるので書面の記載事項も法律で決まってます。
このときは法律で記載を義務付けされている項目をもれなく、正しく記載することが前提です。
契約に関連した法律や法令を調べておく
法律で記載事項が決まってないときも、契約に関連した法律や法令を調べておかないと正しいものを作れません。
売買に関したものだと民法や商法に定められている売買に関連したルールを最低限調べておき、請負関連なら民法に定められている請負に関したルールを調査を行います。
株式譲渡なら会社法128条1項の「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければその効力を生じない」としていることも頭に入れておかないといけません。
個人情報保護だと、個人情報保護法の内容を踏まえないといけません。
法律や判例の調査が十分でないと作った書類の内容が、法律や判例と矛盾していたり触れる恐れもあり、契約条項の無効を主張されたりして問題が起きます。
最近ではインターネットなどでひな形集として公表されていますが、記載するべき契約条項が漏れてないかをチェックするために、チェックリストとして使うなら活用出来ます。
自社で独自に作ってから、ひな形と比べてみて盛り込まれている重要な条項が抜けているときは補充を検討していきます。
ひな形にある条項が全て記載されているからといって安心ではない
ただひな形になくてオリジナルの契約条項を入れるのをためらわなくてもよく、独自の方をきっちり入れていって実際の取引内容にあったものを作ることが大事です。
ひな形にある条項が全て記載されているからといって安心ではなく、ひな形に掲載している例も実際に取引内容にあってないなら入れなくてもよく、自社で守れない内容なのに安易に入れてしまうと後でその内容を守れなくなり、相手方から違反と言われたりします。
一般的に書類にはタイトルをつけて、これは請負や委任など法律上のルールを理解してから判断していきます。
タイトルの後に前文を入れるのが通常で、この後に契約条項を入れます。
この部分は内容によって違いますが権利と義務について書くことを意識し、自社と相手型の権利と義務に関して漏れないようにして、それから当事者の損害賠償責任・契約期間・解除・反社会的勢力排除・権利義務の譲渡禁止に関して記載しておきます。
さらに合意管轄では相手との間でトラブルが起きて、裁判で解決しないといけなくなったときに備えてどこの裁判所で裁判をするかを合意で決めます。
協議条項では書類に記載がない事項などを話し合いで定めることに関してです。
このあとに後文として「以上、本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙各記名押印のうえ、各1通を保有する」などを書きます。
まとめ
最後に日付欄と署名欄を設けて、自社と相手型の2つの署名欄を設けますが、連帯保証人や3社契約なときには3つの署名欄を作ります。
日付欄は内容で自社と相手が合意に至った日の日付を記載するのが基本です。