キャリア再構築:精神障がいを持つ人々の再就職支援

最終更新日 2025年6月24日

こんにちは。私は精神障がい者の就労支援を行う雇用カウンセラーの山田と申します。今日は、精神障がいを抱えながらも再就職を目指す方々へ、私の経験を基にしたアドバイスをお伝えしたいと思います。

精神障がい者の就労は、様々な課題が存在します。社会の偏見や差別、病状への不安、自信の欠如など、一人ひとりが抱える問題は多岐に渡ります。しかし、適切な支援を受けることで、再就職への道は必ず開かれるはずです。

私自身、これまで数多くの精神障がい者の方々の就労支援に携わってきました。再就職を果たした方もいれば、挫折を経験した方もいます。ただ、そのどちらのケースからも、大切な学びを得ることができました。

今回は、そうした経験を踏まえ、精神障がい者の再就職に向けた具体的な支援策をご紹介します。就労における課題から、再就職の準備、就職活動のサポートまで、実践的なノウハウを惜しみなくシェアしたいと思います。

このお話が、再就職を目指す精神障がい者の方々にとって、一歩前進するための一助となれば幸いです。それでは、始めていきましょう。

精神障がい者の就労における課題

社会的偏見と差別

精神障がい者の就労を阻む大きな壁の一つが、社会の偏見と差別です。精神障がいに対する理解不足から、「仕事ができない」「周囲に迷惑をかける」といった誤ったイメージを持たれがちです。

実際、厚生労働省の調査によると、精神障がい者の就職件数は、他の障がい者に比べて低い水準にとどまっています。社会の偏見が、雇用機会の不平等を生んでいる現状があるのです。

こうした偏見と差別を解消するためには、社会全体の意識変革が不可欠です。企業に対する啓発活動や、精神障がいに関する正しい情報発信など、地道な取り組みを続けていく必要があります。

病状への不安と自信の欠如

精神障がい者の多くは、自身の病状への不安を抱えています。「また症状が悪化するのではないか」「仕事で失敗してしまうのではないか」といった恐れから、就職に踏み出せない方も少なくありません。

加えて、長期の病休や休職による自信の喪失も、再就職への大きな障壁となります。「自分にはもう仕事ができない」と自分の可能性を限定してしまう方が多いのです。

こうした不安や自信のなさを乗り越えるためには、周囲のサポートが欠かせません。家族や友人、支援者からの励ましや理解が、再就職への一歩を後押しするのです。

就労支援制度の認知度の低さ

精神障がい者の就労を支える制度は、近年大きく充実してきました。しかし、その認知度は依然として低いのが現状です。

例えば、障害者雇用納付金制度や就労移行支援事業など、就労を後押しする様々な制度がありますが、十分に活用されているとは言い難い状況にあります。

制度名 内容
障害者雇用納付金制度 一定規模以上の企業に障がい者雇用を義務付け、未達成の場合は納付金を徴収する制度
就労移行支援事業 一般就労を目指す障がい者に、職業訓練や職場実習などを行う支援事業

こうした制度の存在を広く伝え、利用を促進していくことが重要です。制度を上手に活用することで、精神障がい者の再就職はより現実的なものとなるはずです。

再就職に向けた準備

自己理解と適性の把握

再就職に向けた第一歩は、自己理解と適性の把握から始まります。自分の強みや弱み、働き方の希望などを整理することが、就職活動の土台となるのです。

自己理解を深めるためには、以下のようなことに取り組むと良いでしょう。

  • 過去の仕事経験を振り返る
  • 自分の性格や価値観を言語化する
  • 得意なことや好きなことをリストアップする
  • ストレス対処法や休養の取り方を確認する

こうした作業を通じて、自分に合った仕事や働き方が見えてくるはずです。

また、適性検査などを活用することで、客観的な自己分析も可能です。自分では気づきにくい強みや適性を発見できるかもしれません。

個別の就労支援計画の作成

自己理解と適性の把握ができたら、次は個別の就労支援計画を作成します。具体的な就職活動の方針や、必要な支援内容を明確にするのです。

就労支援計画の作成に当たっては、以下のような点を盛り込むことが大切です。

  • 就職活動の目標(職種、業種、雇用形態など)
  • 目標達成のための行動計画(スケジュールを含む)
  • 必要な職業訓練や資格取得
  • 就労に向けた心構えや健康管理の方法

支援者との対話を重ねながら、一人ひとりに合った就労支援計画を練り上げていきます。

職業訓練と資格取得の支援

再就職を目指す上で、職業能力の向上は欠かせません。特に、長期の離職期間がある場合は、仕事に必要なスキルを改めて習得する必要があります。

そこで重要になるのが、職業訓練と資格取得の支援です。就労移行支援事業などを活用し、実践的な職業訓練を受けることができます。

訓練内容の例
パソコンスキル(ワード、エクセルなど)
接客・販売スキル
清掃技能
簿記・経理

また、就職に有利となる資格の取得を支援することも大切です。希望する職種に合わせ、必要な資格を選定していきます。

職業訓練や資格取得を通じて、再就職への自信を深めることができるはずです。

就職活動のサポート

適切な求人情報の提供

いざ就職活動を始める際は、適切な求人情報の提供が欠かせません。精神障がい者の特性に配慮した職場環境の求人を見つけ出すのです。

ハローワークの専門窓口や障害者就業・生活支援センターなどを活用し、希望に合った求人情報を収集します。その際、以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。

  • 短時間勤務や時差出勤など、柔軟な働き方ができるか
  • 職場の理解や協力が得られる環境か
  • 通院や服薬に配慮した勤務体系か
  • 将来的なキャリアアップの可能性はあるか

単に条件が合うだけでなく、働きやすさや成長の可能性まで考慮して求人を選ぶことが大切です。

履歴書・職務経歴書の作成指導

応募書類の作成は、就職活動の重要なステップです。特に、精神障がい者の場合は、病歴の扱いが悩ましい問題となります。

履歴書や職務経歴書の作成に当たっては、以下のようなアドバイスをしています。

  • 病歴は、正直に伝える必要がある
  • ただし、詳細な症状よりも、「現在は安定している」といった前向きな表現を心がける
  • 病気の経験を、仕事に生かせるストレングスとしてアピールする
  • 職務経歴は、できることを具体的に伝える

支援者と一緒に何度も推敲を重ね、応募書類を仕上げていきます。前向きな自己アピールができる書類を目指すのです。

面接対策と模擬面接の実施

面接は、採用を左右する重要な場面です。精神障がい者の場合、面接での印象が就職の可否に大きく影響します。

面接に向けては、入念な対策が必要不可欠です。効果的な自己PR方法や、想定される質問への回答を一緒に練習します。

また、模擬面接を実施することで、実践的な面接対策ができます。以下のようなポイントを確認しながら、本番に備えるのです。

  • 第一印象を良くする(身だしなみ、表情、姿勢など)
  • 自己PRを簡潔に伝える
  • 病気について正直に、かつ前向きに語る
  • 質問には具体的かつ論理的に答える

模擬面接での経験を重ね、自信を持って本番の面接に臨めるようサポートします。

企業との調整と雇用条件の交渉

無事に採用が決まったら、次は企業との調整と雇用条件の交渉が重要になります。精神障がい者の場合、職場環境の配慮や柔軟な働き方の実現が欠かせません。

企業との交渉に当たっては、以下のような点に留意します。

  • 病状への理解と配慮を丁寧に依頼する
  • 通院や服薬の時間に合わせた柔軟な勤務体系を提案する
  • 職場の人間関係やコミュニケーションについて、協力を求める
  • 将来的なキャリア形成の方向性を確認する

また、ジョブコーチなどの専門家を交えて、企業との三者面談を行うこともあります。あらゆる角度から、働きやすい職場環境の実現を目指すのです。

まとめ

再就職を目指す精神障がい者の支援は、一朝一夕にはいきません。就労における課題の克服から、再就職の準備、就職活動のサポートまで、息の長い取り組みが求められます。

しかし、粘り強く支援を続けることで、必ず道は拓けるはずです。精神障がい者の持つ可能性を信じ、寄り添い続けること。それが私たち支援者に求められる最も大切な姿勢だと考えています。

再就職を果たした先には、生きがいややりがいに満ちた新しい人生が待っています。そこに向かって一歩ずつ前進できるよう、これからも全力でサポートしていきたいと思います。

精神障がいを抱える皆さんの再就職への挑戦を、心から応援しています。一緒に、希望に満ちた未来を切り拓いていきましょう。

本日は、お話を聞いていただきありがとうございました。少しでも、皆さんの就職活動の参考になれば幸いです。

【関連】あん福祉会のご紹介

あん福祉会の素敵な取り組みについて紹介しますね!

あん福祉会は、小金井市で精神障がいを持った方の自立と社会復帰を支援しているNPOなんです。就労移行支援や就労継続支援B型、グループホーム、デイケアなど、様々な事業を行っているんですよ。

利用者さんは、就労プログラムに取り組みながら一般就職や地域での自立を目指しています。若い方から60代の方まで、幅広い年代の方が利用されているそうです。

スタッフの方は利用者さん一人一人に寄り添い、きめ細やかな支援を心がけているとのこと。就職のためのスキルアップ支援はもちろん、日常生活のサポートや就職後の定着支援まで、手厚くフォローしてくれるんだとか。

利用者さんの適性に合わせて、図書館での仕事や清掃、喫茶などの作業を通して社会復帰の練習をしたり、就職に向けた面接対策なども行っているそうです。

こうした活動を通して、利用者さんの自立を後押ししている あん福祉会。地域に根差した心温まる取り組みですね!